TRANSITION PATROL Carbon

TRANSITION BIKEのラインナップ

前後160mmストロークで、現在のTRANSITIONバイクでDHモデルのTR11以外では唯一のマレット仕様のモデルで、細分化されたラインナップでは29のセンチネル、27.5のスカウトの中間に位置するトレイルモデルがこのパトロールだ。

リアサスペンションのロワ装着位置のチップを変更すればヘッドアンブルとBBハイトを変更することができ、コースによって乗り味を変更できるイマドキの機能も装着。トップチューブ下部にはアクセサリーマウントが設けられ、チューブやツールを装着することができ、トレイルライドやエンデューロ競技時にチューブやコンパクトなポンプを装着することができる。

僕はほとんどのモデルの試乗をさせていただいているが、TRANSITIONバイクの一貫した特長は、バイクと自分の意識の一体感があり、自在に操ることができるという部分。

TRANSITION BIKEのモデルはレースバイクとして速いかどうかは別にして、「乗っていて楽しい」というライディングフィールを満喫できる。この部分はダウンカントリーモデルからDHモデルまで、どのモデルでも一貫しており、乗り込めば乗り込むほど乗り手との一体感を楽しむことができる。

試乗インプレッション

今回試乗したモデルはアルミモデルのMサイズ。初めて乗ったのは富士見パノラマのコース番号「5」の林間シングルトラック。アプローチまでの林道も軽快で、優れた登坂力を見せると共に、全体的に軽快で乗りやすい。

いざ下り始めると、マレット仕様なので凸凹での失速感が少なく、非常に回頭性に優れているため、狭い林間コースをかなりのハイペースで走行することができた。ただし、標準で装着されていたタイヤでは少し硬く、ややグリップ不足に感じたので、前後VITTORIA MAZZA RACE 2.6に履き替えて再度走行したが、ハイグリップすぎて乗り始めに感じた漕ぎの軽さ、リアの軽快感が損なわれてしまったので、リアのみVITTORIA MARTELLO RACE 2.4に変更し、このバイクの主戦場にふさわしい「ふじてん」へ持ち込んで乗り込んだ。

狙った通り、ふじてんのコースでは、性能を存分に楽しむことができた。前後160mmストロークがちょうど良く、思ったタイミングで曲がることができ、細かく左右に振られたコーナーもヒラヒラと曲がる印象。ふじてんのコースやシングルトラックが続くトレイルなどでは本当に気持ちよいライディングができた。もちろん十分な剛性もあり、高速でバンクに後輪を押しつけながら曲がってゆくコーナーもしっかりとラインをトレースできる。

上級コースにカテゴライズされる馬車道の中盤にあるドロップオフが連続したところに高速で突っ込むと、さすがにフロントのストローク不足を感じるが、後半のジャンプセクションやスキルアップエリアの3連ジャンプなどは変に意識してかまえることもなく、気持ちよく走行することができ、このバイクの基本性能の高さを感じることができた。

どんな人にオススメか

近年のバイクでは、ストロークが短くでも快適に下れ、長めのストローク量でも驚くほどの登坂性能をもつバイクが多く、レースを考えるのでなければ1台で多目的に使用できるモデルが多く、このモデルもその中の1台といえる。ダブルクラウンフォークの装着も公式に認められているので、ハードなバイクパーク用バイクとして仕上げることができ、軽快なDHバイクとして使用することも可能となっている。

後輪の位置やグリップ感も掴みやすく、積極的にバイクを振り回せるライダーにはたまらない爽快感を味わうことができ、トレイルを縦横無尽に走行することが可能。

上りも軽快にこなすことができ、エンデューロ系のコースでも楽しめるので、1台でマウンテンバイクのすべてを楽しみたいという欲張りなライダーにもオススメできる。

完成車に装着されているパーツは、そのままエンデューロレースやちょっとハードなトレイルへ持ち込んでも遜色がなく、十分なポテンシャルをもっているので、初めからカスタマイズするというよりも、しばらく乗り込んでから気になった部分を自分好みに変更していくといった楽しみ方にはバッチリだ。

ちょっと残念な点

前後FOXサスペンション、コントロール性と効きに定評のあるTRPブレーキやSRAM GX EAGLEコンポ、レースフェイスのホイールなど、レーシングバイクとして満足できるパーツが装着されているので、どうしても価格が……。
もちろんアルミフレームではSRAM NXの完成車のラインナップもされており、上位グレードとしてのカーボンフレームなのでわかってはいるのだが、もう少しパーツグレードを落としたモデルがあれば、カーボンフレームで誰もが楽しめるトレイルバイクとしてイチオシできる。

試乗車スペック

CARBON GX Mech Kit ¥1,105,500

FRAME MATERIALPatrol Carbon 160mm
SIZESM(マレット)
REAR SHOCKFox Float X Performance Elite 205x60mm
FORKFox Float 38 Performance Elite 160mm
CRANKARMSSRAM GX Eagle DUB 165mm
CHAINRINGS32T
B/B
PEDALS
CHAINSRAM GX Eagle
FREEWHEEL
CHAINGUIDE
FRONT D
REAR DSRAM GX Eagle
SHIFTERSSRAM GX Eagle
BRAKE CALIPERSTRP DH-R Evo
FRONT BRAKE ROTORTRP R1 2.3 (203mm)
REAR BRAKE ROTORTRP R1 2.3 (203mm)
BRAKE LEVERSTRP DH-R Evo
HEADSETFSA NO.55R/57
HANDLEBARANVL Mandrel Alloy 35 SM(800×20) MD/LG/XL(800×30)
STEMANVL Swage (40mm)
SEATPOSTOneUp Dropper Post
GRIPSODI Elite Flow
SADDLESDG Bel Air 3
FRONT HUBRaceFace Trace 28H
REAR HUBRaceFace Trace 28H
RIMSRaceFace Aeffect R
FRONT TIRESchwalbe Magic Mary, Super Trail, Soft (2.4) VITTORIA MAZZA RACE 2.6
REAR TIRESchwalbe Big Betty, Super Trail, Soft (2.4) VITTORIA MARTELLO RACE 2.4
WEIGHT14.97 kg (Size MD)

ジオメトリー

SM
HIGH/LOW
MD
HIGH/LOW
LG
HIGH/LOW
Top Tube Horizontal540 / 543575 / 578603 / 606
Head Tube Angle70.5° / 70°70.5° / 70°70.5° / 70°
Head Tube Length100100110
Seat Tube Angle63.5° / 63°63.5° / 63°63.5° / 63°
Seat Tube Length360390430
Rear Centre434 / 436434 / 436440 / 442
Bottom Bracket Drop340 / 333340 / 333340 / 333
Reach420 / 415455 / 450480 / 475
Stack623 / 628623 /628632 / 637
Standover Height675 / 685690 / 700705 / 715
Wheelbase1196 / 11981231 / 12331266 / 1268
※試乗車はMサイズ

上りも下りもご機嫌なバイク

– 若林正幸

下り性能
剛性
価格
汎用性

Summary

点数としてはコストの部分で下がってしまっているが、細かいシングルトラックやトレイルでは抜群の楽しさを味わうことができ、エンデューロレースを視野に入れてもオススメできるモデルといえる

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問:LOVEBIKES