シマノXTR M9200ショートインプレ

ついに発売されたXTR Di2の実力
6/10に富士見パノラマリゾートで開催された新型XTR M9200のプレス試乗会はあいにくの土砂降りで、存分に乗り倒すことができなかったが、一方でよりブレーキ性能が目立った試乗となった。ブレーキ、シフトそしてホイール全てが一新された各パーツごとに感じたことをお伝えしたい。
実際に試乗したのはTRANSITION SENTINELとYETI SB140。それぞれ富士見パノラマリゾートの第4リフトを使い、中腹から走行した。
シフト系

自在にセッティング可能なシフトレバー
レバー裏側に設けられたネジを緩めるだけで角度や位置を簡単にセッティング可能。ハンドルを握ったままで違和感のないシフトチェンジが可能。一段階、二段階とクリック感がはっきりしていて曖昧なところがなく、躊躇なく確実にシフティングできるのが印象的だった。
たとえば登り返し手前や「ちょっと漕ぎ足したい」という際にギヤが軽すぎたり、重すぎたりしてもあまり意識することなく瞬時に望んでいたギヤに変速できるイメージ。トルクをかけていてもしっかりと変速するので、レースでは致命的となるギヤの選択を最小限のタイムロスで抑えてくれるはずだ。

最低地上高的にもかなりの安心感を得た
シャドウESシステムによってチェーンの暴れは最小限に抑えられ、路面とのコンタクトポイントが広くなっているので、木の根や岩をかすめて行くタイトなライン取りが必要な際に、バイクが多少ルーズなコントロール下であっても安心して突っ込める。試乗でぶつけることはなかったが、トルクをかけながらでも確実に変速し、十分な剛性を感じることができた。

9-45Tのスプロケセットは軽量化にも貢献
エンデューロ向けには10-51Tが推奨されているが、装着されていたのは9-45Tで、10-51Tより40g以上軽量化され、ミドルケージのRDによってロードクリアランスも広い。もちろん自分には急な坂路をガンガン登れるスキルはないけれど、このカセットを選びたい。急坂は”押し”を覚悟しての選択となるかもしれないが‥。
ブレーキレバー&キャリパー

絶妙なタッチと自然な握り心地
説明されるまでレバー自体がアップライズしているとは意識しなければ気づかないような自然な握り心地。自分のイメージでは初期制動がガツっと効くというのがシマノブレーキという印象だったが、雨で濡れた路面で初期制動が高すぎると滑りやすいが、握りはじめから奥の奥までしっかりとした効きとコントロール性があるという印象。自分のDHバイクには MAGURA MT5、トレイルバイクにはCODE RSCを使用しているが、急にこのブレーキに変更してもいつも通りに走行することができる。すでにワールドカップでも活躍していることからも非常に信頼性に優れたブレーキといえるだろう。ちなみにアップライズはXTRグレードのみ。XTRとXTのレバーのみの価格差は片側でわずか2500円弱なので、キャリパーをXTでもレバーだけはXTRを使用することをオススメしたい。

かっこいいワンピースキャリパー
気温も低く、雨天だったこともありブレーキ周りの加熱によってタッチが変わってしまったり、フェードしたりということはなく、キャリパー自体の性能や新型ミネラルオイルの性能を実感することはできなかったが、ブレーキは全体的に非常に好感触だった。個人的には異径ピストンの4PODキャリパーは大好きで、プロダクツとしてカッコいいから使いたいというのも、十分購入のきっかけとなるだろう。
高精度のハブ&カーボンリム

軽い転がりと掛かりの良い走行感
転がりが軽く剛性もあり、日本国内であればどのDHコースでも十分走行可能。もちろん最新のワイドトレッドのDHタイヤにも対応しており、組み立て精度も専用のラインで行われており、高精度かつ高テンションで組み上げられている。
MTB乗りは、ハブとリムを購入し手組みホイールを使用するライダーが多いが、ハブ、リム、スポークを統合して設計された完組みホイールの性能と精度は一度体感すればわかるはず。カートリッジベアリング化されたことで、メンテナンスサイクルも長くなっている。
ライド中もバネ下の軽快感が感じられ、ノッチが増えていることで漕ぎ出しのギアの掛かりも良好。もちろん横剛性も十分で、足を止めても失速感が少ない印象。フリーの音も大きすぎず小さすぎず、自分には耳障りの良い軽快な音だった。
コンポーネント全体の印象
最高峰のレーシングコンポとして申し分ない性能をもっており、クセのない操作感も好印象を受けた。ワイヤーコンポのネガティブな部分は解消され、セットアップも簡単と、良いことが多いと思う。もちろんブレーキ、シフト周り、ホイールそれぞれ単体でも非常に優れた完成度といえる。
問:シマノ