KONA PROCESS 153 G3/134 G3

新ジオメトリーで設計されたアルミモデル

KONAのベストセラートレイルモデル、PROCESSシリーズの153、134のアルミフレームモデルがジオメトリーを見直し、第3世代(G3)となって上陸。従来からのクセがない乗りやすさはそのままに、ジオメトリー調整機能を備え、より万能な性能が与えられている。

完成車として販売されているモデルで、変速系はエントリーグレードのパーツ構成だが、第三世代にアップデートされ、フレームジオメトリーは熟成され、サスペンションやブレーキなどハードなライディングにも十分に耐える性能を備えており、熟練のライダーにもオススメできるモデルに仕上げられている。

アルミモデルの利点はなんといってもコストパフォーマンス。さらに障害物や転倒による外部からのハードヒットに対しても破損を最小限に防ぐことができる。つまり投資を最小限に抑えながら、思いっきり走りまくれるという点だ。

初めて本格的なトレイルを走行するにはバイク以外の装備にもコストがかかる。ヘルメット、シューズ、アイウェア、携帯用品。それらを揃えてもカーボンフレームのモデルと比べて十分おつりが来るし、転倒時のパーツ破損や、自分好みのパーツにカスタマイズすることなどを考慮すると、現実的なプライスといえる。

もちろん乗り味そのものだけを比べればカーボンモデルに軍配が上がるが、僕個人の見解としては、ガチにレースで成績を狙うのであればカーボンフレームに乗りたいが、これから本格的にオフロードを楽しみたい、トレイルやパークでガンガン乗り倒し、ハードな場所でも気にせず思いっきり走りまくりたいというライダーにはアルミフレームをオススメしたい。逆にバイクの所有欲やハイエンド至上主義であるというライダーにはオススメできないモデルといえる。

KONAのラインナップ

現在KONAのモデルは、ダウンヒルモデル、フリーライド、オールマウンテンというジャンルでの棲み分けを廃し、ダブルサスペンションモデルはPROCESSシリーズとしてまとめられ、、ストローク長によって、X(162mm)、153、134と3モデルに別けられている。

G3モデルは、万能の性能と乗りやすさで好評のPROCESS Xに寄せたジオメトリーとなり、細部を煮詰め、手の届きやすい価格で提供されている。

試乗インプレッション

非常に失礼な話になるが、ハイエンドカーボンモデルに、ハイエンドパーツの付いたバイクに試乗する機会の多い自分としては、アルミフレームで、ミドルグレードの前後サスペンション、トランスミッションを装着したモデルということで、乗り味を含めてあまり期待をしていない乗りだしだったが、すぐに大きな間違いだったことに気がついた。持った感じはやや重さが気になったが、走り出してみるとそんなことはなく、ジオメトリーの見直しによって第三世代となったPROESSは、以前より確実に進化していることを感じることができた。

大まかにいえば、153 G3は下りでの取り回しの軽快感と芯のある乗り味、134 G3は中高速度域の下りでもより安定感が増し、ストロークが増えたかのようなイメージがあり、どちらのモデルも意のままのラインを走行でき、今回試乗した富士見パノラマの旧Cコースはもちろん、ふじてん等のコースを縦横無尽に走り回ることができる。とくに以前の134では、高速区間やギャップの大きな場所で、ショートストロークで立ち気味のヘッドアングルによって多少の不安定が感じられたが、その部分が払拭できていると感じた。

乗り味は変なクセもなく、素直で乗りやすい。滑らせたいところでリアを流し、止めたいところでグリップさせて立ち上がるなど、スピードレンジさえ間違えなければ意のままに操ることができる。荷重移動に対しリニアなサスペンションの動きによって、エントリーライダーでも乗り続けることでライディングで一番重要な荷重移動を身につけることができるだろう。サスペンション、リンク周りで無駄な動きをしないので、挙動がわかりやすいというのも特長だ。

旧Aコースのようなハイスピードかつ荒れている路面では、走行ラインやスピードによって、ちょっとした障害物にはじかれたり、ハイスピードになれば全体的なストローク不足を感じるだろうが、そこまで攻めて走行するのであれば、PROCESS XもしくはDHバイクが向いている。もちろんこのモデルの設計意図は、トレイルやバイクパークを”楽しんで走行”することが目的のバイクといえる。

使い方としては、トレイルメインだが、年に何回か仲間とバイクパークに行ったり、イベントレースに参加したりといった、下りにアグレッシブなライダーには153 G3、年中トレイルを走り、たまにイベントなどでパークやレースを走行するのであれば134 G3をオススメしたい。もちろん153 G3であれば、ENSやダウンヒルシリーズにも参加できるポテンシャルをもっており、134 G3はある程度の上りを想定したロングライドやシングルトラックメインのショートコースのレースに対応することができる。

今回の153 G3、134G3ともに富士見パノラマの旧Cコースで試乗を行ったが、どちらも十分な性能を発揮し、KONA本来のもつ素直な乗り味がさらに進化していた。もちろんストローク量、装着されているサスペンションの違いはあるが、どちらを選んでも存分に楽しめるポテンシャルをもっており、前述していたネガティブな部分を全く気にすることなく楽しむことができた。

どんな人にオススメか

価格や装着パーツでいうと入門モデルと感じるだろうが、ライディングが上手くなりたいという成長過程のライダーにオススメしたい。ニュートラルな乗り味と、基本設計の良さにより、特筆した性能うんぬんというより、基本的なバイクの乗り方を学ぶことができ、バイクに助けられて乗せられるのではなく、バイクを自在に操る楽しさを味わうことができる。

一番のネックとなる変速系だが、廉価なマイクロシフト製の10Sとはいえギア歯数はハードな上りにも対応する48Tを備える。もちろんシマノやSRAMの変速性能に勝ることはないが、突然壊れるようなこともないので、故障や破損してからの交換というのが前提となる。コストはかかるが、その時点での自分の実力を鑑みて相応のパーツ交換によってさらに性能を向上させることができる。その他の構成パーツに関してもアップデートするたびにバイクの性能も向上し、ハイエンドパーツを装着する頃には一目置かれるような走りを見せることができるライダーに成長しているはずだ。

ガンガンと乗り倒すことでスキルアップしたいというライダーにぜひ乗って欲しいモデルといえる。

各部詳細

153 G3、134 G3とも標準は29"ホイールを装着。Sサイズのみマレット仕様となる。リンク後部のフリップチップを変更することで、リアホイールを29、もしくは27.5に変更することができ、用途に応じたセッティングを楽しむことができる。ドロッパーポストも標準で装着されており、タイヤも用途にベストなチョイスが選ばれている。

PROCESS 153 G3

PROCESS 134 G3

試乗車のサイズ感

173cmの自分なら、Mサイズがジャストサイズ。M、Lサイズは標準で前後29ホイールを装備。Sサイズはリア27.5のマレット仕様で販売される。

ちなみにKONAが公表しているサイズチャートではの158-168cmはSサイズ、168-178cmはMサイズ、178-188cmはLサイズに設定されている。

さまざまなイベントで試乗することができる

KONAの輸入代理店「A&F」では、さまざまなイベントに出展、一般ライダー向けに展示・試乗会を開催しており、直近では10/20のふじてんフェス、10/26-27の北関東MTBフェスティバル in SMP、11/2-3の富士見パノラマなどが予定されているので、スペック以上の性能を試してみて欲しい

ちょっと残念な点

ちょっと重たいとか、装着している変速系パーツが…など、いくらでも突っ込みどころはあり、オーソドックスなバイクなので所有する喜びには欠けてしまうけれど、エントリ〜ミドルモデルとして考えればそのあたりのネガな部分は気にならない。
構成パーツは徐々にグレードアップしていけばいいし、走りに応じたグレードアップすることで、ハイエンドパーツの良さを実感できる。ライディングテクニックを身につけ、性能を存分に引き出してからカーボンハイエンドといったバイクライフを楽しむことができる。

試乗車スペック

価格:¥422,400(153)、\322.300(134)

153 G3134 G3
FRAME MATERIALKona 6061 Aluminum Butted 153mm TravelKona 6061 Aluminum Butted 134mm Travel
SIZESM(29)M(29)
REAR SHOCKRockShox Deluxe Select Plus TrunnionRockShox Deluxe Select Trunnion
FORKRockShox Yari RC Motion Control DebonAir 160mm RockShox Recon RL Motion Control Solo Air 140mm 
CRANKARMSFSA Comet Heavy DutyFSA Comet
CHAINRINGS30T30T
B/BFSA PF92FSA PF92
PEDALS
CHAINKMC X10KMC X10
FREEWHEELMicroshift Advent X 11-48t 10sMicroshift Advent X 11-48t 10s
CHAINGUIDE
FRONT D
REAR DMicroshift Advent XMicroshift Advent X
SHIFTERSMicroshift Advent XMicroshift Advent X
BRAKE CALIPERSSRAM DB8SRAM Level
FRONT BRAKE ROTORSRAM Centerline 200mmSRAM Centerline 180mm
REAR BRAKE ROTORSRAM Centerline 180mmSRAM Centerline 180mm
BRAKE LEVERSSRAM DB8SRAM Level
HEADSETFSA No.57BFSA No.57B
HANDLEBARKona XC/BC 35Kona XC/BC 35
STEMKona XC/BC 35Kona XC/BC 35
SEATPOSTTranzX Dropper +RAD w/ Shimano Lever 31.6mmTranzX Dropper +RAD Internal 31.6mm
SEAT CLAMPKona ClampKona Clamp
GRIPSKona Key GripKona Key Grip
SADDLEKona TrailKona Trail
FRONT HUBFormula 110x15mmFormula 110x15mm
REAR HUBFormula 148x12mmFormula 148x12mm
SPOKESStainless Black 14gStainless Black 14g
RIMSWTB ST i30 TCS 2.0WTB ST i30 TCS 2.0
FRONT TIREMaxxis Assegai DH 29×2.5″ WTMaxxis Minion DHF EXO TR DUAL 29×2.5″ WT
REAR TIREMaxxis Minion DHR II DH 29×2.4″ WTMaxxis Dissector EXO TR DUAL 29×2.4″ WT
PAINT COLORGloss Metallic Titian w/ Metallic Silver DecalsGloss Moss w/ Plum & Mustang Decals
2024/8 現在のスペック

ジオメトリー

153 G3134 G3
SIZESMLSML
ST LENGTH380380420380380420
TT LENGTH576601628572599628
REACH430455480430455480
STACK620620625611615625
STANDOVER700700710700700710
HT ANGLE64.564.564.565.565.565.5
HT LENGTH100100105100105116
ST ANGLE76.976.976.776.976.976.7
CS LENGTH435435435435435435
BB DROP203030233333
BB HEIGHT345345345342342342
WHEELBASE119012151244117112001230
FRONT CENTER756781811740767797
FORK LENGTH571571571551551551
FORK OFFSET444444444444
試乗車はMサイズ

153 G3

下りでの安定感はストローク以上。軽快な取り回しでシングルトラック、ジャンプセクションも難なくこなすことができる。自然なライドフィールによって、高いスピードレンジにも対応することができる

– 若林正幸

下り性能
登坂性能
剛性
価格

Summary

下りを中心としたパークやトレイルにはもってこい。バイク頼みでないライディングテクニックを磨くにも適したモデルといえる

3.9

134 G3

抜群の軽快感。荒れたロックセクションや根っこエリアではややテクニックを必要とするが、トレイルやシングルトラックでは軽快なライディングが可能。ストローク以上の安定感を感じることができる

– 若林正幸

下り性能
登坂性能
剛性
価格

Summary

抜群のコストパフォーマンス。上りも考慮されているのでトレイルや里山を中心に走行するのであれば間違いのないチョイスといえる

3.9

取材協力:富士見パノラマリゾート

問:エイアンドエフ