下りを得意とするリアルエンデューロモデル
現在のKONAのラインナップ中最もストロークの長いフロント170mm、リア162mmトラベルで、ホイールベースを簡単に変更可能なエンドシステムを採用し、さまざまなコース状況に対応できる。リアホイールは29、27.5に変更可能で、Sサイズは標準でマレット仕様となる。
また、国内シーンではダブルクラウンを装着してダウンヒルコースに対応させるなど、下り全般に汎用性をもたせた造りになっている点も見逃せず、このモデル1台で幅広いグラビティーシーンに対応することができるのが強み。上りに関しては得意ではないものの、前後のサスペンションに調整機能が付き、クライムモードにすることで、サスペンションがムダな動きをせずに。
今回は、下りがメインの北関東のトレイルでテストライドを行った
KONAのラインナップ
現在ダウンヒルモデル、フリーライドモデルという棲み分けを廃し、ダブルサスペンションモデルはPROCESSシリーズに集約され、ストローク長によって、X(162mm)、153、134と3モデルに別けられている。その中でも最もストロークがあり、ハードな走行を想定しているのがこのモデル。
他にもダートジャンプモデル、リジッドモデル、ファットタイヤモデルなどフルラインナップを揃える総合ブランドといえる。
試乗インプレッション
従来ラインナップしていたダウンヒルモデルにはOPERATOR。国内ファクトリーチームの活躍もあり、多くの勝利を支えた27.5バイクだったが、29やマレットなど、ホイールサイズの最適な答えを出すことなく、現在OPERATORモデルのニューモデルは休止してしまっている。
代わりの下りモデルとして注目されるのが、フリーライドモデルのPROCESSシリーズで最もストローク量を与えられたこのモデルだ。PROCESSシリーズ中最も優れた剛性が与えられているが、従来シリーズのもつ、扱いやすさをスポイルすることないバイクに仕上げられている。
今回テスト時に乗ったトレイルはコーナーにはキレイなバンクの付いたハイスピードコース。路面のコンディションもベストといえる状況で、正直インプレには余り向かないかなというトレイルだったが、数本走行し、ちょっとサスペンションのセッティングをいじっただけで、安心して思いっきり攻めた走りをすることができた。以前アルミモデルのPROCESS 153を所有していたので、このタイプのリンク方式のバイクに乗り慣れているということもあるとは思うが、乗り味にクセがなく、全体の剛性バランスが良いことが上げられると思う。カーボンフレームということもあり、アルミモデルよりも各部の剛性が上手くコントロールされているようで、がっちりとした剛性感がありながら、硬すぎて乗りにくいといったカドがなく、グリップレベルも高くかった。もちろんライディング時にヘッド周り、リア周りに変なねじれなども感じることはなかった。
「平凡」というと、失礼かもしれないが、特にすごく秀でていて、とがった性能というものはないが、すべてにおいて高いレベルで及第点が与えられるバイク。オーソドックスなリンクによるリアホイールの軌道なので、リアタイヤの位置がわかりやすく、滑ってからのリカバリーはもちろん、滑らせながらコーナーに入り、グリップさせたい部分でリアにトラクションを掛けると、しっかりと立ち上がってくれるという印象で、すぐに意のままに乗りこなすことができた。最新設計のバイクというよりも、いぶし銀のようなイメージで、どんな乗り方にも対応できる安心感があり、積極的なライドを楽しみたいライダーにもオススメ。価格も昨今のバイクとしてはかなりリーズナブルに抑えられている印象で、装着されているパーツも満足できるスペックだ。もちろんハイエンドコンポに組み替えても良いが、それは標準仕様のパーツが壊れてから考えてもよく、購入後のカスタマイズに十分応えてくれるバイクだ。
どんな人にオススメか
ガンガン下りを乗り倒す人にはオススメ。上りはストロークもあるのでちょっと重さを感じるが、標準装着されているサスペンションは、前後ともにクライム用のロックアウト機能が付いているので、踏み込んだ力がサスペンションに吸収されてしまうこともない。装着されているパーツはシマノのミックスコンポだが、このあたりのバランスも良い。ブレーキは4ポットに203mmローターを装備しているので安心してスピードを出すことができる。
試乗車のサイズ感
僕の身長は173cm。普段乗っている自分のバイクはTRANSITION TR11(旧カーボンフレーム)のLサイズ。試乗車として貸していただいたモデルのサイズはMサイズ。跨がるとちょっと小さいかなという印象だったが、今回の様にトレイルで振り回すのであれば、軽快な走りを実現できるこのサイズがベター。自分の体格であれば、ステム長をちょっと伸ばせば、よりベストなポジションになる。
もし、富士見パノラマのレースコースのようなハイスピードや、荒れた路面のトレイルをメインに走るのであれば、もう少し安定性を求めたいので自分ならLサイズを選ぶだろう。
ちょっと残念な点
唯一の残念なところはリアホイールの着脱がやや面倒なところ。リアセンター長を延ばせる機能をもつため、ホイールを外すとディレイラー側が、ハンガーともに外れて遊んでしまう。調整用のアルミパーツで、リアシャフトの受けネジとなっている部分がフレームから外れてしまうので、装着時に煩わしいという点だ。このあたりを改良してくれると、構造に関するネガティブな部分はなくなる。スモールパーツとはいえ、万が一トレイルでパンク修理などで、ホイールを着脱する際、なくしてしまうと走行することができなくなるので、そこだけちょっと残念だ。
各部詳細
リアホイールのサイズ変更はチップによって簡単に変更ができる。また、前後サスペンションはエア式を採用。前後ロックアウト機能で自走のトレイルでも軽快に登坂することができる。もちろんコンプレッション調整機能があるので、セッティング幅もあるので、どんな状況のトレイルでも十分な性能を発揮することができる。
試乗車スペック
FRAME MATERIAL | Kona Carbon 162mm Travel |
SIZES | S(マレット), M(29″), L(29″) |
REAR SHOCK | Fox DPX2 Performance Elite Trunnion |
FORK | Fox 38 Performance Grip Damper 170mm |
CRANKARMS | Shimano SLX |
CHAINRINGS | 32T |
B/B | Shimano PF92 |
PEDALS | – |
CHAIN | Shimano Deore 12s |
FREEWHEEL | Shimano SLX 10-51t 12s |
CHAINGUIDE | – |
FRONT D | – |
REAR D | Shimano SLX 12s |
SHIFTERS | Shimano XT 12s |
BRAKE CALIPERS | Shimano Deore |
FRONT BRAKE ROTOR | Shimano RT66 203mm |
REAR BRAKE ROTOR | Shimano RT66 203mm |
BRAKE LEVERS | Shimano Deore |
HEADSET | FSA Orbit 1.5 EP ZS |
HANDLEBAR | Kona XC/BC 35 |
| Kona XC/BC 35 |
SEATPOST | TranzX Dropper +RAD Internal w/ Shimano Lever 31.6mm |
SEAT CLAMP | Kona Clamp |
GRIPS | Kona Key Grip |
SADDLE | WTB Volt |
FRONT HUB | DT Swiss 370 110x15mm |
| DT Swiss 370 148x12mm |
SPOKES | Stainless Black 14g |
RIMS | WTB KOM Trail i30 TCS |
FRONT TIRE | Maxxis Assegai EXO+ TR 3C 29×2.5″ WT |
REAR TIRE | Maxxis Minion DHR II EXO+ TR 3C 29×2.4″ WT (27.5×2.4″ WT size S) |
PAINT COLOR | Gloss Metallic Dusty Rose w/ Chocolate & Bronze Decals |
2023/12/31現在のスペック
ジオメトリー
SIZE | S | M | L |
ST LENGTH | 380 | 380 | 420 |
TT LENGTH | 565 | 594 | 623 |
REACH | 440 | 465 | 490 |
STACK | 615 | 615 | 625 |
STANDOVER | 690 | 700 | 710 |
HT ANGLE | 63.5 | 63.5 | 63.5 |
HT LENGTH | 94 | 94 | 105 |
ST ANGLE | 78.2 | 78.2 | 78 |
CS LENGTH | 435 (450) | 435 (450) | 435 (450) |
BB DROP | 20 | 30 | 30 |
BB HEIGHT | 345 | 345 | 345 |
WHEELBASE | 1213 (1228) | 1238 (1253) | 1268 (1283) |
FRONT CENTER | 779 | 804 | 834 |
FORK LENGTH | 581 | 581 | 581 |
FORK OFFSET | 44 | 44 | 44 |
DHにも使える万能フリーライドバイク
斬新すぎるカラーに好みが分かれると思うが、カーボンにメタリック塗装なので、高級感がある。ダブルクラウンフォークを装着しても十分な剛性もあり、さまざまな下り用途に使える万能な1台に仕上げられている。
– 若林正幸
Summary
購入しても絶対に後悔することがない性能があり、この性能でこの価格というのは非常にリーズナブル。各部にカスタマイズを施すことで、どんなレベルのライダーでも満足できるはずだ。
問:エイアンドエフ
ROCKY MOUNTAINのSLAYER、ALTUTUDE、INSTINCTを一気試乗
抜群のフィット感とプロテクションを装備
KONAの第3世代に進化したPROCESS 153 G3と134 G3を試乗
ナノテクノロジーで汚れに浸透し、驚くほどの洗浄力をもつクリーナー
小気味のいい乗り味をもつ前後160mmのマレット仕様モデル
アジア選手権、全日本選手権を制した沢田選手のシューズ
清水一輝選手のSHIMANO GE 9 & GE 7ショートインプレッション
新たなMTBジャンルといえるDHパークモデル