サドルヤグラの新デバイスSwichGrade EVO

ヤグラ交換で快適性が向上するアイデアパーツ

いまやドロッパーポストはトレイルライドには必需品といえ、用途に特化したモデル以外のほとんどのモデルが装備を前提とした設計となっている。そんなドロッパーポストと併用することでライディング時の負荷を軽減させるアイデアパーツがTRAILSEEDが輸入販売を行う「SwichGrade」で、ヤグラ部分に装着することでサドルの角度をワンタッチで3ポジションに変更でき、ライディング時の斜度に合わせ、ベストなサドル角に設定することができる。

AENOMALY SwichGrade V2 EVO

¥33,000〜(Black、Raw)、¥38,000〜(GoldFusion、MetalWorks)

聖地カナダ・ウィスラーで切削される高品質パーツ

2022年にPinkbikeでイノベーティブオブザイヤーを獲得したサドル下のアイデアパーツが、軽量化されV2となった。

ライディング中にサドル角をワンタッチで3ポジションに変更可能。平地のペダリングに優れた水平から、シッティングでの上りを意識した前下がり、下りでは後ろ下がりに変更することで、安定したライディングと身体への負担軽減を目的に製造されたパーツで、トレイルを楽しむコアなライダーを中心に支持を集めている。

特長

⚫︎ 可変レバーで前方-10度、水平、後方-12度サドル角を変更可能
⚫︎ サドル角の変更によって、いままでにないペダリング、上半身への負担軽減と操作性を体感できる
⚫︎ 2または3ポジション間で変更可能
⚫︎ 材料の最適化によって前モデルより7%の軽量化を実現
⚫︎ ロープロファイル、ロースタック設計(水平サドル高が1cm上昇)
⚫︎ 本体とアダプターを組み合わせることで幅広いドロッパーポストとの互換性
⚫︎ 重量:158g

インプレッション

一部のコアユーザーの中で話題に昇っているパーツで、とくにトレイルヘッドへ自走でアプローチするライディングスタイルのライダーや、パークでも自走路を設けているところで効果を発揮するアイテムだ。

余談にはなるが25年くらい前に、MTBで乗鞍のヒルクライムレースに参加したことがあるのだが、そのときにサドルの角度をほんの少し前下がりにセッティングすると、シッティングの上りが非常にラクになったことを体感しているので、このパーツが世に出たとき、効果があることは間違いないと確信はしていたが、角度を都度変更することで、ライディングにどのくらい影響を与えるかはちょっと想像できなかった。

トレイルバイクには標準装備となっているドロッパーポストに装着すると最大限に効果を発揮するということで、普段使用しているトレイルバイクに装着して数日間地元のトレイルで試した。

装着はドロッパーポストのヤグラ部分を外して置き換える。その際に、使用しているポストにSwitchGrade 2.0 EVOを装着するためのアダプターが必要となるので、まずは本国の適合表から自分の使用しているポストを見つけ、A〜Eまで5種類用意されているアダプターから適合を選択して装着することができる。もちろんアダプターは別売も用意されており、ポストをアップデートしてもほんの少しの投資で装着ができる。さらに軽量なカーボンレールなどに採用されているオーバルレール用も別売でアダプターが用意されるなど、スキのないラインナップといえる。ちなみに自分の使用しているドロッパーポストは OneUpComponent なので、アダプターAを使用し、5分とかからずに装着することができた。

装着後は従来よりもサドルの高さは10mmほど高くなるが、サイドや前後にSwitchGrade本体やレバーがはみ出すこともなく、わずかの重量増なのであまり気になることはないはずだ。
レールの最前部へ装着してもサドルからはみださないのでペダリングの邪魔にはならない
ライディング前に一番注意したいのはポストを一番下げ、前上がりのダウンヒルポジションにしたときに、リアサスペンションがフルボトムしてもサドル後部とタイヤが干渉しないようにすること。下るときにポストを目一杯下げているライダーは注意が必要となるだろう。

ライディング中の操作としてはサドル下にあるレバーを引くだけの単純な方法。かつてリモート機能のない初期のドロッパーポストにあった方式といえばイメージしやすいだろう。レバーを握り込んでロックを解除し、角度を変更する。つまりレバー操作時に一瞬サドルへの荷重を抜き、再度サドル前部か後部に体重を掛けることでクライムポジション、ダウンヒルポジションに切り替える。走りながらの操作ではちょっとした慣れの必要を感じたが、数回操作すればコツを掴むことができた。

まず中間地点を水平にセッティングして試したが、ちょっとした斜度の上りでは前下がりが急で、違和感が大きく感じたので、ちょっとだけ前上がりにセッティングし直すとかなり快適に登れるようになった。この辺りはライドするトレイルで大きく変わるかもし、普段の自分のセッティングが前上がりというのもあるかもしれないが、走行するトレイルの斜度によっては細かくセッティングし直すことで、より効果を実感することができるだろう。

テストしたトレイルは搬送+ジープロードの上りで、自分の超貧足でも乗っていける斜度。一番急な場所で切り替えてみると、大きな効果を感じることができた。もちろんその斜度が急であればあるほど、長ければ長いほど効果を体感できる。あまり意識しなくても重心の中心に乗っているので前後輪にしっかりと適度なトラクションがかかる。急な斜度でサドルの後方にお尻が滑り落ちることがなく、しっかりとホールドするのでサドルのやや前面に座り漕ぐことに集中しているだけでよく、サドル上で動かなくても適度なトラクションが掛かるので、無駄に力を使わずに上り切ることができるという印象だ。トレイルで淡々と標高を稼ぐ上りでは非常に助けになるアイテムだ。また、下りでは後部を下げることで着座位置が前にズレにくく、バイクの中心より前に重心が掛かりすぎにくく、しっかりと後輪に乗ることができ、急斜度の下りが苦手なライダーでも、臆することなくバイクに乗って下ることができるはずだ。

上りで使う際としては、急な登坂になってから片手をハンドルから離して操作というのはちょっと難しいので、上りに差し掛かって即変更というより、この先急な上りになるという手前で操作することが良いように感じた。緩い上りで慌てて操作すると、前が下がりすぎて逆に乗り辛くなってしまうので、「ここからサドルの前側に座り直して」というタイミングで操作することで違和感なくクライムモードに変更できる。このタイミングはトレイルそれぞれ、ライダーそれぞれなので、ちょっと慣れる必要がある。

どんなライディングスタイルのライダーにおすすめかというと、イチオシは e-Bike ユーザー。積極的に上るライダーといえるが、トレイルヘッドまで続く上りを淡々と上るためには効果のあるパーツなので、この機能を味わった身からいわせてもらえば、標準装備となってもおかしくない。無駄な力をセーブして効率的に上ることができるので、エンデューロ競技や王滝のようなアドベンチャーレースでも体力の温存に一役買ってくれるだろう。

また、将来的にはドロッパーポストのようにリモートで操作できれば登坂しながらリズムを崩さずに変更できるようになれば、もう一段階便利なアイテムになるはず。すでに本国では現在の3段階をはるかに越えた8段階に角度を変更できるPROが発表されており、より走行時にベストな角度を追求する流れもあるので、近い将来リモート機能が搭載される可能性にも期待したい。
左からクライム、標準、ダウンヒル

問:Trailseed

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